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イタリア町めぐり

山の上にあるアルトモンテの町 地図

 

 アルトモンテは、イタリア語で「高い山」。その名のとおり、カラブリア(カラーブリア)州北部に無数にある山岳都市・丘上都市の1つだ。国立公園となっているポッリーノ山脈の山裾に位置している。町は尾根すじに広がり、馬蹄形のような形。その中央は深い谷になっている。

 この町へはバスの便もあるのだが、あまりに本数が少ない。しかも、連れがいるので、やむなく宿泊地のカストロヴィッラリからタクシーで送り迎えしてもらうことにした。高速道路経由で40キロ弱、片道50ユーロはちと厳しいところである。
 4時間後に迎えて来てもらう約束をして、町歩きをはじめた。


馬蹄形をした町の中央部から、北側の中心部にあるサンタマリーア・デッラ・コンソラツィオーネ教会(Chiesa di S.Maria della Consolazione)を望む。

2004.10

アルトモンテの中心部を望む


 ここアルトモンテには、2つの顔がある--なんて偉そうに書くほどのことはないのだが、前半の2時間と後半の2時間とでは、町の印象がまるで違ってしまったのである。
 前半2時間のアルトモンテ。それは、「千夜一夜物語」に出てくる「無人の町」のように、まるで人の気配のしない静かな町であった。観光地が客であふれかえっているのも嫌だが、まったくいないというのも寂しいものである。

 中心地には、教会が2つもあり、博物館もある。さらには家の密集地のまん真ん中に、なぜか20世紀に作られたらしい小さな円形劇場まであった。
 だが、人が見当たらないのである。昼時とはいえ、観光客だけでなく、地元の人もいないのだ。


おしゃべりをするお年寄り

昼食を食べてぶらぶらしていると、軒先でおしゃべりをしていた年配のおじさま、おばさまたちに出会った。顔は、ちょっとアルバニアっぽい。

2004.10



 腹が減ってきたが、教会前の観光地図に書かれたレストランとバールは、2軒とも閉まっている。
「腹減ったなあ、暑いなあ、困ったなあ、ふらふらしてきた」
 泣き言をいいながら、谷沿いの眺めがいい道を2人でとぼとぼと歩いていると、向こうのほうから10代後半と思われる理知的な顔だちの女の子が、本を小わきに抱えてやってきた。
 私はすがるように尋ねた。
「この近くにレストランはありませんか?」

 すると、彼女は谷の向こうに見える大きな建物を指さす。
「ホテル・バルビエーリがいいわよ」
「え、あんな遠いの?」
 彼女は、私の嘆きに笑顔で返してくれた。
 私たちは礼を言い、最後の力を振り絞ってそのホテルを目指したのであった。
 谷をぐるりと迂回して、炎天下20分間の行進の末、たどり着いたホテル・バルビエーリは、それまでとはまったくの別世界だったのである。


サンタマリア・デッラ・コンソラツィオーネ教会から、町の中心部を望む。

2004.10

町の中心部


 ここからが後半2時間のアルトモンテである。
 ホテルのレストランは、それはそれは広く清潔で、いい香りがして、たくさんの人びとがきびきびと立ち働いていた。
 何組ものグループがパーティーを楽しんでいるし、広々としたベランダでは立食パーティーが催されている。ベランダの向こうには、丘上都市らしい見事な風景が見渡せた(トップの写真)。

「ランチは決まったものだけどいいかい。地元のオリジナルのうまいもんだよ」
 太ったおじさんが、私たちのテーブルのところにやってきて、こう言った。
「あんたたち日本人かい。この前、東芝の社員が3人、何日かこのホテルに泊まっていったよ」
--へえー、こんなところにねえ……。

 変に感激している私たちのもとに、やがて運ばれてきたのは、地元でとれた材料をふんだんに使った前菜の数々。
 生ハム、チーズ、キノコの盛り合わせ、各種のジャム、なすのペーストのから揚げ。そして、甘い唐辛子のから揚げなどなど。
 おかげで、地元産の赤ワインが昼間からウマい。結局、とうとうパスタまで達することができずに満腹になってしまった。


甘い唐辛子のから揚げ 唐辛子を干しているところ
  カラブリアの名物は唐辛子。ホテルのランチの前菜にも、甘い唐辛子のから揚げが出てきた。ホテルの調理場の裏に行くと、唐辛子がどっさりと干してあるのが目に入った。
 2004.10

●所在地
カラブリア州コゼンツァ県
●公共交通での行き方
・スペッツァーノ・アルバネーゼ駅からのバスが1日2往復。カストロヴィッラリのバスも1日2往復。
・コゼンツァからのバスが1日1往復。

●見どころ
・見事な山上都市の景観。
・14世紀に建立されたサンタマリア・デッラ・コンソラツィオーネ教会、11世紀にできた聖ジャコモ・アポストロ教会など。

●老婆心ながら
なんといっても公共交通では不便な町なので、宿泊するのでなければ、どこかでタクシーに乗る必要がある。
銅像とネコ町の入口にある銅像の足元でひなたぼっこをするネコ2匹。
 2004.10
2005年11月作成

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