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| サレルノからレッジョ・ディ・カラーブリア行きの列車に乗り、サープリ(Sapri)を過ぎると、車窓の右側にティレニア海が広がる。ここからは、とても居眠りをしていられない風景が続く。 もちろん、美しい海岸線も見逃せないのだが、車窓の左側にも次々に不思議な町が現れては去っていく。そんななかでも、とくに奇妙な町の一つが、このアマンテーア(Amantea)だ。 海岸には砂浜が広がり、イタリアでは海水浴場として知られた町なのだそうだが、私はなんといっても、駅のすぐ近くに迫ってくる岩山の迫力に目を奪われた。 岩山の中腹まで建物が並び、平らな頂上には城砦らしきものが見えている。こんな駅から間近にある立派な丘上都市は、ほかに見たことがない。 |
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| 撮影:2004年10月 |
| 駅前から見た岩山の雄姿。かなり不思議な光景である。旧市街は、この岩山の斜面に広がっている。 |
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| 列車から目にした日はレッジョ・ディ・カラーブリアまで行かなくてはならなかったのだが、その数日後、なんとか時間をやりくりして、旅行最後の日に、アマンテーアに泊まる時間をとることができた。 駅に着いたのは午後7時ごろだったのだが、その日は厚い雲に覆われて、あたりは真っ暗。ホテルはすぐに取れるだろうと高をくくっていたのだが、駅前付近は店もなく心細いことこの上ない。あたりには地図もなく、駅員の姿も見当たらない。 明るい方角へ歩を進めたのだが、これが市街地とは反対の方角であった。結局、行ったり来たりして、30分以上もうろうろしたあげく、ようやくホテルを見つけることができた。 |
![]() ▲丘の頂上近くから新市街を見下ろす。このあたり、ネコの小便の臭いに満ちていた。 |
▼丘の頂上にあった教会。建物は崩れていたが、まだ使われているようだった。![]() |
| 「地中海ホテル」という名の宿は、瀟洒なつくりでレストランもついている。ところが、季節外れということで、驚くほどの安い料金で泊まることができた。 原則として晩飯はホテルでとらない--そんなつまらぬモットーを持っている私は、再び暗い街中をさまようこと30分。さんざん歩いてようやく見つけた町の食堂は、なんとホテルの裏口の真ん前であった。 「うちはピッツァしかないよ。ローマやナポリのような豪勢な食事はないけどいいかい」と、太っちょの店主が言う。そんなに金持ちに見えたわけでもないだろうが。 先客は、近所の人らしい2、3人とドイツ人の若いカップルであった。 |
| 朝の旧市街ですれ違ったご婦人。スーパーの買い物袋を持っていた。 |
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| 見ていると、店主が何やらそのドイツ人に対してやけに愛想がいい。しかも、ドイツ語で話しかけているではないか。どうやら、若いころにドイツに出稼ぎにいっていたらしい。 そういえば、別の町でもドイツで働いていたという人たちがいたっけ。イタリア人はドイツ人を嫌っているとよく言うが、カラーブリアを歩いていると、案外ドイツに好意的な感情を持っている人がいるようだ。 それにしても、しつこく話しかけられるのも面倒だが、まるで構ってくれないのも寂しいものである。手持ちぶさただった私は、ピッツァができるまで、テレビのイタリア対ウクライナ(だったかな?)戦のサッカーを見るしかなかった。 「これ、生放送なの?」 「そう、生放送だよ」 ピッツァを運んできた店主と、ようやく会話を交わすことができた。 |
![]() ▲左側の穴蔵のようなところも、実は公道。建物の下を、階段で通り抜けるしくみになっていた。 |
▼やっぱり日当たりのいい場所にはネコがいる。![]() |
| 翌朝は、きれいに晴れ上がった。ローマ発の飛行機に乗るためには、10時55分発の急行に乗らなくてはならないので、ちょっぴり早起きして岩山にのぼることにした。それにしても、駅から5分の丘上都市というのは珍しい。 だが、5分というのはふもとまでの話で、そこからの急坂はきつかった。10月の朝とは思えない日射しのもと、丘の頂上付近は、サボテンの実が落ちてくさった臭いに、ネコの小便の臭いが交じって、生暖かい風とともに鼻を襲ってくる。私は、列車に乗り遅れてはいけないと、汗だくになって頂上までひたすら登ったのであった。 |
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●所在地 カラーブリア州コゼンツァ県 ●公共交通 ・レッジョ・ディ・カラーブリア中央駅からパオラ、サレルノ方面行き急行で約2時間。 ・ナポリ中央駅からレッジョ・ディ・カラーブリア方面行き急行で約3時間20分。 ●見どころ ・駅(海岸)から徒歩5分に位置する岩山と、山の斜面に広がる旧市街。 ・砂浜が続く海岸線。 ・岩山の上に残る教会と城砦。 ●老婆心ながら 特急、急行とも、アマンテーア駅に停車するものとしないものがあるので注意。 |
![]() 旧市街で洗濯物を干しているご婦人。にっこり笑って写させてもらった。 |
| 2006年7月作成 | |
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