イタリア中部、ローマから直線距離で北100キロほどに位置するアッシジ(アッシージ)は、今や押しも押されもせぬ世界的な観光地である。 |
霧にけむるアッシジの町。左に見えるのがサンタ・キアラ教会。 1981.12 |
初めてアッシジを訪れたのは、フィレンツェで勉強していた1981年。それから、1985年、1990年、1996年、2004年と5回にのぼる。最初の1回は別として、そのほかは必ずアッシジで1泊したのだから律儀なものである。 |
▲ 冬のアッシジは観光客の姿も少なく、町全体に落ち着いた雰囲気が漂っていた。 1981.12 |
▼左の写真から約四半世紀。観光客は激増したが、やはり宗教的な町だった。 2004.10 |
アッシジで何よりも有名なのは、かの聖フランチェスコを祀るサン・フランチェスコ教会である。名家のぼんぼんに生まれ、何不自由なく育ち、悪い仲間とさんざん遊びほうけていたフランチェスコが、戦いのむなしさや貧しい人びとの暮らしを知るうちに、あるときから神の道に目覚め、恵まれない人のためにつくしたという逸話は、なかなか人間味があっておもしろい。 |
この町のドゥオーモ前の小さな広場にて。失礼にも、教会に尻を向けて撮った写真である。右上遠くに見えるのが山の頂上にある城砦。 1985.11 |
アッシジで印象に残っているのが、中心部からややサン・フランチェスコ教会寄り、小さな三叉路にあった陶器の店。1985年に訪れたときは、確かに陶器の店だった。 |
▲丘の上に広がるアッシジの町は、メインストリートを一歩はずれると、こうした狭い路地や坂ばかりが連続している。 1981.12 |
▼町の中心部にあるコムーネ広場近く。薄暗い路地を抜けて視界が開ける劇的なつくりの町並み。 2004.10 |
次にアッシジを訪れたのは、1990年のこと。店は5年前と同じようにそこにあり、同じように例の女性が一人で店の片隅に座っていた。 |
華麗な色彩と優雅なデザインのファサードを持つサンタ・キアラ教会。キアラは貴族の娘として生まれたが、のちに聖フランチェスコの初めての女性の弟子として修道院に入り、聖女としてあがめられるようになった。 1981.12 |
1996年、今度は両親を連れてアッシジにやってきた。店はやはり同じ場所に同じようにあった。だが、ショーウィンドーには陶器がない。その代わりに、古ぼけた道具や小物が並んでいた。 |
●所在地 ウンブリア州ペルージャ県 ●公共交通での行き方 ・ローマからイタリア鉄道でフォリーニョまで1時間半~2時間。ペルージャ方面行きに乗り換えて15分。直通列車もある。 ・フィレンツェからテロントラ・コルトーナまで1時間半。ベルージャ方面フォリーニョ行きに乗り換えて1時間。直通列車もある。 ・アッシジ駅前からバスで15分。バスは頻繁に出ている。 ●見どころ ・サン・フランチェスコ教会、サンタ・キアラ教会を中心とした宗教的な雰囲気に満ちた町。 ・典型的な丘上都市の外観。 ●老婆心ながら この町の名前を「アッシジ」と発音してもイタリア人にはまず通じない。「アッシージ」でも通じるかどうか。あえて書けば「アッスィーズィ」となる。慣れないと発音しにくい。 |
アッシジの丘を望む眺めのいい畑では、地元のおじさんたちが収穫の喜びを語り合っていた。たぶん。 2004.10 |
2010年10月作成 |
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