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イタリア町めぐり

カステルサルド遠景 2008年11月 地図


 サルデーニャ島は、シチリア島に次いで地中海で2番目に大きい島である。この島は、行けば行くほど興味深いところである。何が興味深いかというと、九州よりも面積が小さいにもかかわらず、地域によってまったく違う顔をもっている点である。
 島の北東部のコスタズメラルダ(エメラルド海岸)は、ヨーロッパでも有数の保養地。北西部の端には、いまだにカタルーニャ語を話す人びとがいるアルゲーロという町があり、島の中央部のジェンナジェントゥ山地では人間よりも羊の数のほうが多く、古くからこの島に住み着いている人たちが古い文化を継承しているといった具合である。

 では、ここカステルサルドにはどんな由来があるかというと、コルシカ島をはさんで対岸に位置するジェノバの人たちが築いた町なのだそうだ。


旧市街へ登る道
▲バスが到着する新市街から、階段を登って城砦・旧市街へ向かう。
2008.11
▼静まり返った旧市街の町並み。中央の建物は教会。
2008.11
静まり返った旧市街


 イタリア語をちょっとかじった人ならわかるように、この町の名前は「サルデーニャの城」という意味。トップの写真でもわかるように、海辺に突き出した崖の上に、確かに立派な城砦がある。
 ここは、島で2番目に大きい町であるサッサリ(Sassari)から、バスで1時間あまり。サッサリには1990年に訪れたことがあるのだが、周辺の町についての情報は当時ほとんどなく、あとはアルゲーロに立ち寄っただけで州都カッリャリに向かってしまっていた。こんな素敵な町が近くにあるとは思いも寄らなかった。

 2008年晩秋の旅は、後半こそ一人旅だったが、前半は妻とその母親(つまり私にとっては義母)との3人旅であり、私はツアコン役であった。
「さあ、サッサリに着いた翌日は、海外沿いの興味深い町に行きますよ」と言ってはいたのだが、なんとその日が日曜日だったことに気付いたのは、2、3日前であった。日曜日というと、イタリア南部や島部では交通機関がほとんど休業ということになるのであせったが、この路線は普段の3分の1程度の3往復が動いていたのは幸いだった。


城壁付近から海を眺める

旧市街の城壁の外側から東側(サルデーニャ島北岸)を望む。

2008.11



 サッサリを出たバスは、何の変哲もない郊外の町々を巡り、40分ほどするとようやく海が見えてきた。そして、入江をていねいにたどった末に、ついに行く手にカステルサルドの町が見えてきた。それが、トップの写真である。

 海に突き出た小山の中腹には、色とりどりの家々がびっしりと立ち並び、山頂にはジェノバ人が築いた古めかしい城砦が見える。
「なるほど、城砦の周囲に旧市街が広がっているんだな」と誰もが思うだろう。これまでイタリアの山岳都市をいくつも巡った私も、そう思ったのであった。それが間違いだと気づくまでには、あと30分ほどが必要であった。


旧市街の道
▲旧市街の道を歩いていると、建物の間から海がちらちらと見える。
2008.11
▼路地の向こうに、光を浴びた鐘楼が現れた。
2008.11
鐘楼


 バスの終点は丘のふもと。遠目に見えた旧市街らしき町に行くには、町を大回りする車道を歩くか、階段を登るかして丘を登っていくしかなかった。その階段というのが、2段目左側の写真である。
 周囲には土産物屋が何軒も並んでいたので、シーズンには観光客で賑わうのだろう。だが、私が行ったときはシーズンオフのまっただなか。しかも、時折雨が交じる天気だったから、ほかに観光客らしき人間は一人も見かけなかった。

 そして、ひいはあ言いながら階段の上にたどり着いてみると、まだまだ上に家々が見えてきたではないか。城砦まで続く坂道をさらに登り、城壁をくぐってビックリ。狭い城砦のなかに、なんともひそやかな旧市街があったのだ。
 カラフルな色に塗られた家々。そんな家並みに交じって、見逃してしまいそうな小さな教会(2段目の右側の写真)、そして路地の向こうに見える青い海。かと思うと、いきなり眼前に現れたサンタマリア・デッレ・グラツィエ教会の鐘楼。
 新市街にはずいぶん人が出ていたのだが、旧市街ではほとんど見かけず、静まり返っていたのも印象的だった。なにか夢の中の一場面のように思われた。


旧市街の北西端。崖にへばりつくように立てられたサンタマリア・デッレ・グラツィエ教会と鐘楼。

2008.11

サンタマリア・デッレ・グラツィエ教会


 行き当たりばったりでジェノバ人の足跡をたどりつつ、小さな旧市街をぶらぶら歩き、城壁に沿って一周してもせいぜい1時間たらず。
 3往復しかない休日の帰りのバスにはまだまだ時間があったが、強い雨も時折降ってくるので、新市街まで下ることにした。

 とはいえ、土産物屋もすべて閉まっているので、バールで時間をつぶすしかない。そうしてやってきたのが、町の遠景(トップの写真)が見渡せるふもとのホテルのラウンジ。もっとも、
ラウンジとは名ばかりで、ごく普通の町のバールである。
 そして、ここにもやはり、イタリア名物、地元のヒマな親爺連中が新聞を読んだりおしゃべりをしたり。
そんな光景はサルデーニャの田舎町でも変わらないことを知って、思わずニヤリとする私であった。


●所在地
サルデーニャ州サッサリ県
●公共交通での行き方
・サッサリから、arst社のバスで1時間~1時間半。1日約10往復。休日は3往復。
●見どころ
海に突き出した岬と、その頂上付近にある城砦と旧市街。夏には、マリンスポーツで賑わうらしい。
●老婆心ながら
本文にある通り、丘の頂上にある城砦の内側に旧市街がある。城壁に入らずに戻ってくるとおもしろくないので注意。
新市街から城砦を望む 新市街にあるバスの終点付近から城砦を見上げる。旧市街は丘の頂上に見える城砦の内側にある。 2008.11
2014年7月作成

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