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| トスカーナ州南部にあるモンテプルチャーノは、城壁に囲まれた典型的な丘上都市だ。町は細長い長円形をしており、南北に約1キロ、東西には300メートルも歩けば反対側に出てしまう。 ここは、町自体が魅力的であるだけでなく、ワインの産地としても有名である。丘の上に位置する町からは、見わたすかぎりなだらかな平原とぶどう畑が拡がっている。 キウジ駅前で飛び乗ったバスはほぼ満員だったが、保養地であるキアンチャーノ・テルメ(温泉)を過ぎると、乗客は数えるほどになってしまった。 モンテプルチャーノのバスの終点は城壁の外にあり、そこから歩いて城門をくぐる。小さな町には不釣り合いなほど、大型の観光バスが何台も止まっていたのが印象的だった。 |
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| 撮影はすべて1996年7月 |
![]() この町ではすべての道が坂道。右側の家の前では、椅子に座っておしゃべりをしている年配の人の姿が見える。 |
町のメインストリートの一つ。右奥の建物は16世紀にできた「プルチネッラの塔」。演劇の人気キャラクター・プルチネッラが時の鐘を鳴らす。
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| 町の中には、やたらにアメリカ人が多かった。さっきの大型バスでやってきたのだろうか。 ちょうど昼どきであり、私は腹が減ったので、北側の城門近くにあるピッツェリーアに入ることにした。大きな建物の奥にあるこぢんまりとした店には、すでに何組かの先客がいた。 「暑いし、ピッツァだし、ビールを飲むかな」と思ってみると、ベルギーの修道院ビール「シメイ」の瓶が目に入った。私にとってこの旅は、EU統合初のイタリア訪問である。 「ベルギーのうまいビールがイタリアで安く飲めるというのも、EUのおかげかな」と満足し、イタリアで初めてベルギービールを飲むことにしたのである。 |
| 坂道を登りきったところにあるピアッツァ・グランデ(その名も「大広場」)。ここが町の中心部で、正面に見えるのがこの町のドゥオーモ。 |
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さて、ピッツァを半分ほど食べたところで、ビール瓶が空になった。 「さあ、もう1本ビールを飲もうかなっと。でも、みんなはどんなものを飲んでいるんだろう」 そんなことを思い、それとなく周囲を見わたしてみた。すると、私のそばにいた熟年夫婦のテーブルにあった飲み物は……なんとクアーズではないか。 「なにも、ここまで来てアメリカのビールを飲まなくても……」 しかも、けっしてウマいとはいえない(個人的な意見です)薄いビールだ。アメリカ人の心情には、はかりしれないものがある。 「しかも、ここはワインの名産地モンテプルチャーノだぞ!」 そう憤慨したところで気がついた。 「そうだ、ここまで来てワインを飲まずに帰るという法はない」 注文したのは安い赤ワインである。でも、コクがあってうまかった。こんなワインを危うく飲み過ごすところだったと思うと、あのクアーズ好きなアメリカ人にも感謝をするべきかなと思った私である。 |
| くだんのピッツェリーアの入口は、表通りから入ったところにある薄暗い場所にあった。 |
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●所在地 トスカーナ州シエナ県 ●公共交通 ・イタリア鉄道でローマから約1時間半、キウジ駅でモンテプルチャーノ行きの路線バスに乗り換えて約1時間。 ・ シエナからの路線バスは日に数本。 ●見どころ ・城壁に囲まれた典型的な丘上都市の姿。眺めがいい。 ・町を縦断する道をぶらぶら歩きながら、両側に建ち並ぶ古い建物を見る。 ●老婆心ながら イタリア鉄道のシエナ~キウジを結ぶローカル線にモンテプルチャーノ駅があるが、駅から町までは相当な距離があるので注意。この駅で降りて町まで1時間近く歩いた知人がいる。路線バスがあるかどうかは不明。 |
城壁のへりにつけられた細い道。こんな道を歩いていると、ずいぶん遠いところに来たんだなという感傷的な気分にひたれる。 |
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