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イタリア町めぐり

プローチダ島コッリチェッラ地区の全景 2009年9月 地図


 ナポリ湾に浮かぶ島というと、カプリ島やイスキア島を思い浮かべる人が多いかもしれないが、そのどちらでもない。イスキア島とナポリの間に浮かぶ小島、プローチダ(プロチダ)島である。
 私自身は、カプリもイスキアも行ったことがない(2011年現在)のだが、へそ曲がりなことに、知名度の落ちるこのプローチダ島には2006年に足を運んだ。

 そんなプローチダ島だが、1994年の映画『イル・ポスティーノ』の舞台になったことですっかり有名になった。だが、残念なことに、私はその映画をまだ観ていない(2011年現在……こればっかり)。その代わりといってはなんだが、やはりこの島を舞台にした『Non è giusto(ノネ・ジュスト)』(邦題:そんなのヘン)という映画は、2002年のイタリア映画祭で観たのである。


船の上から見たプローチダ島の様子。フェリーが発着するマリーナ・グランデ地区周辺には、折り重なるように家々が連なっている。また、島の上部にも家が密集しているのが見える。

2006.9

プローチダ外周の道


 細かい内容は忘れてしまったが、現代のナポリとプローチダが舞台で、身勝手な大人たちの行動にもかかわらず、子どもたちがたくましく生きている様子が印象にのこった。
 そして、もう一つ印象に残ったのが、プローチダ島の風景だ。港に到着する小さなフェリーボート。そして、港の周囲に建ち並ぶ、カラフルだけどちょっと薄汚れた家々であった。

 そんな風景をこの目で見ようと向かったのが、ナポリの郊外にあるポッツオーリ港である。ポッツオーリという駅名は、イタリア鉄道のメトロ路線の終点として、以前から知っていた。一度は行こうと思っていた場所である。
 私はポッツオーリ駅を降り、海に向かって歩いて行った。かなりの酷暑のなか、20分近くかかったが、なんとか生きて港に着くことができた。


プローチダ外周の道

コッリチェッラ地区に下っていく道。薄汚れた壁だけを見ると、ちょっと昔の南イタリアの町を思い出す。

2006.9



長くて急な坂道を登っていくと、行く手に鮮やかな色の教会が見えてきた。マドンナ・デッレ・グラツィエ教会だ。

2006.9

プローチダ中腹の広場


 ポッツオーリ港は、予想以上に大きな港であった。カプリやイスキアに向かう大型船に乗るのだろう、ドイツ人やアメリカ人の団体でいっぱい。
 プローチダと書かれた看板を頼りに探していると、ようやく小さな切符売場──というより掘っ立て小屋を見つけた。そのなかに、若いお姉さんがいて、プローチダ島行きのフェリーの切符を売っている。「出航は30分後。あの一番小さい船よ」と指さすかなたを見ると、大きな船の間に、瀬戸内海の小島に向かうフェリーのような小さな船が見えた。

 ポッツオーリ港からプローチダまでは約20分。マリーナ・グランデ(Marina Grande)の港は、映画と同様にレストランやバールがひしめいていたが、映画よりもずっときれいだというのが第一印象であった。
 私の乗った小さなフェリーにくらべて、2倍も3倍も大きな船が左右に停泊している。おそらく、カプリやイスキアを経由してやってきたクルーズ船なんだろう。


プローチダ外周の道

ピンク色の家を写そうとカメラを構えていたら、その色と同じピンクのTシャツを着た女の子が通っていった。

2006.9



 観光客でごった返す港を抜けて100mも歩くと、不思議なほど人影もまばらとなる。手元には地図もなんにもなかったが、小さい島なので道に迷うこともない。まずは、ひたすら島の一番高い地点を目指すことにした。街角の地図によれば、そこには修道院があるらしい。

 すでに9月とはいえ、南イタリアの日射しはきつい。しかも、急な坂道の連続。あまりの暑さに、そろそろ後悔しかけたころ、目の前に絶景が開けた。それが、トップの写真である。
 これは、フェリーの発着する港とは反対側のコッリチェッラ(Corricella)地区。映画「イル・ポスティーノ」の舞台となった場所である。

 写真を撮ったあと、コッリチェッラ地区の海岸に向かって坂道を下って行った。すると、そこにいたのは、数えきれないほどのイタリア人観光客。レストランやバールのテラスにも、びっしりと水着姿の人びとがいる。そんななかで、ショルダーバッグを持って写真を撮っている東洋人はかなり場違いな存在であった。


コッリチェッラの港を見下ろす高台で、美しい女性が一人、大きな声を上げていた。変な人だなと思ったが、よくよく聞いてみると、どうやら演劇の練習をしていたらしい。

2006.9

プローチダ中腹の広場

プローチダ外周の道

太陽の恵みをたっぷりと浴びたコッリチェッラの港。この一角に、『イル・ポスティーノ』の舞台となった家がある。

2006.9



 結局、のどの渇きはマリーナ・グランデで癒すことに。夕食にしては時間が早かったが、港に面した庶民的なトラットリーアで、海の幸たっぷりの食事とビール、そしてワインをしこたま飲んだ私である。

 じつは、その日の朝までは妻と義母を引率して、南イタリアを周遊してきた。二人をナポリ空港で見送ったあと、久しぶりののんびりとした一日であった。
「食後酒はいかが?」と、主の娘と思われる女の子がやってくる。
「そうだなあ。アマーロを頂戴!」
 彼女はキャッと笑いながら、店に戻っていった。
 昼間からよく飲む東洋人だと驚いたのかな。


●所在地
カンパーニア州ナポリ県
●公共交通での行き方
・ナポリ港から、CAREMARSNAV社の高速船かフェリーで35~60分。1日10数往復。
・ボッツオーリ港から、CAREMARSNAVMEDMAR社の高速船かフェリーで15~35分。1日約10往復。ポッツオーリ港へは、ナポリ市内からメトロに乗って終点下車。駅から徒歩約15分。
・各社の船は、イスキア島からも1日10数往復程度が設定されている。
●見どころ
・パステルカラーに彩られた美しい家々。
・観光地だけでなく素朴な漁村風景。

●老婆心ながら
船は、フェリー、高速船、水中翼船の3種類があり、それぞれ所要時間と運賃が異なっている。
プローチダの背後からの眺め マリーナ・グランデの港の前に立ち並ぶトラットリーアの一軒で、昼間からビールを飲んでいい気分。隣のテーブルには、店の家族だか親族だかが集まって、おしゃべりをしていた。 2006.9
2011年11月作成

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