トップページ
イタリア町めぐり

シャッカの港から見た町の外観 2014年9月 地図


 シチリアはまさに文明の交差点だ。有史以来、フェニキア人、ギリシャ人、ラテン人、アラブ人、ノルマン人など、さまざまな民族がこの島にやってきた。シチリアの各都市には、それぞれの文明・文化の痕跡が見られる。

 そして、島の西部にあるトラーパニ(Trapani)やこのシャッカ(Sciacca)には、アラブの文化が色濃く残っている。海に面した丘がびっしりと建物で埋めつくされ、その丘の上の町を網の目のように路地が走り、その路地がしばしば行き止まりになっているのは、アラブ支配の名残なのだそうだ。


丘の上の町に張り出した展望台からは、港が一望できる。夕方になると、南イタリアの地方都市の例にもれず、親父軍団の集会場と化していた。

2014/09

港や海を見わたせる展望台


 ちなみに、シャッカという変わった名前の由来については、アラブ支配時代の人名だとか、ラテン語の「温泉」から来ているとか、いやアラビア語の「温泉」の意味だとか、シリアの神様の名前だとか、諸説ふんぶんのようである。

 そして、温泉が地名の由来だという説があるくらいで、この町には有名な温泉場がある。もっとも、日本の温泉と違ってぬるい湯に水着で入るものであって、入る前には医師の診断を受けなければならないなど、少々面倒くさいのである。


旧市街の入口あたり

旧市街にひっそりとたたずむノルマン・アラブ様式の聖ニコロ・ラ・ラティーナ教会(chiesa S Nicolò La Latina)。

2014/09



 そんなアラブの雰囲気が残るシャッカの町で、道に迷いながら散歩をしたいという思いがかなったのは、2014年になってのことである。港から丘の上まで何往復もして、うろうろと歩きまわり、実に散歩のしがいのある素敵な町だと感じたのであった。

 ところで、この町は、1964年に公開されたイタリア映画「誘惑されて捨てられて」(原題:Sedotta e abbandonata) の舞台になっている。
 なんとも身も蓋もない邦題だが、「鉄道員」や「刑事」など、古いイタリア映画ファンには懐かしいピエトロ・ジェルミ監督の手になるもので、シチリアの古い慣習に対する風刺がテーマとなっている。

花咲く裏通り
▲中心部のすぐそばに、こんなきれいな花の咲く路地があった。
 2014/09
▼自動車が通らない階段路地は、子どもたちのいい遊び場だ。
 2014/09
子どもが遊ぶ裏通り

 まだ全編を通して観たことはないのだが、カルロ・ルスティケッリ作曲のテーマ音楽は昔から知っていた。
 知人から、映画のオープニングがYoutubeで公開されているのを聞き、さっそくチェックしたところ、おなじみの哀愁ただようメロディとともに、半世紀前のシャッカの旧市街が次から次へと描かれて、もう居ても立ってもいられなくなった。下の動画である。

 そして、せっかくシャッカに行くのだから、この動画に描かれた場所を尋ねてみようと思い、出発のだいぶ前からグーグルストリートビューで場所の見当をつけておいた。



 このページのなかでも、バディア・グランデ教会、聖ニコロ・ラ・ラティーナ教会が登場しているのがわかるだろう。また、下にある「シャッカ写真ギャラリー」のうち、上段左と中の写真が、動画の中に登場する。

 もちろん、半世紀過ぎて、人びとの考え方や生き方はまったく変わっただろう。それでも、映画に描かれた(一部しか観ていないが)昔のシャッカの姿を頭に浮かべながら、迷路のような道を歩きまわったのは楽しい思い出である。


バディア・グランデ教会

旧市街の中心部にそびえたつバディア・グランデ教会(Chiesa della Badia Grande)。

2014/09


夕暮れのシャッカの漁港。町の明かりがぽつりぽつりと灯り、どこからともなく、魚を焼く匂いが漂ってくる。

2014/09

旧市街の夕景


 シャッカの町の目の前には大きな漁港があって、漁船が活発に行き交っている。そんな港でうろうろしながら写真と撮っていると、地元のお兄さんに声をかけられた。
「日本から来たの? この町にも最近まで日本人の結婚して住んでいたんだよ」
 そういって、すでにトラックの荷台にある冷蔵庫をわざわざ開けて、その日にとれた魚を見せてくれた。

 そうそう、漁港の近く、シャッカの町の南側には、1986年まで走っていた軌間950mmの狭軌鉄道の駅の跡が残っている。もちろんレールはすでにないが、当時の給水塔(2014年時点)が残されており、線路の跡を偲ぶことができる。


●所在地
シチリア州アグリジェント県
●公共交通での行き方
・トラーパニからSalvatore LUMIA社のバスで2時間20分。平日3往復、休日1往復。
・アグリジェントからSalvatore LUMIA社のバスで1時間10分~1時間40分。平日約10往復。
・ローマやプーリア州からの長距離バスの便もある。
●見どころ
・シチリア南海岸に広がる山岳都市の風景。
・温泉。
●老婆心ながら
都市間バス、長距離バスは、中心部から少し離れたアガトクレ通り(Via Agatocle)に発着する。
港で釣りをする人港の防波堤には、朝から釣りをしている人たちが何人もいた。シャッカの町をバックにした雄大な眺め。 2014/09
2018年11月作成

シャッカ写真ギャラリー
シャッカ旧市街 シャッカ旧市街 シャッカ旧市街
シャッカ旧市街 シャッカ旧市街 シャッカ旧市街
シャッカ旧市街 シャッカ旧市街 シャッカ旧市街

■「よろず話」トップページに戻る | 「イタリア町めぐり」目次に戻る■