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トロペーアは、カラーブリア州の西海岸にある「隠れたリゾート地」である--現地に行く前に知っていたことはこのくらいであった。とはいえ、カラーブリア州の町で日本のガイドブックでかろうじて取り上げられている数少ない町の一つでもあり、「ちょっと俗化した、ちゃらちゃらした町か」なんて偏見を抱いて駅を降りた私と妻であった。 |
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| 撮影:2005年11月 |
| イーゾラベッラ(Isola Bella --トップの写真の岩礁)から眺めたトロペーアの市街。 | ![]() |
| 十数分ほど歩いただろうか、なんの変哲もない家並みを越えると、ようやく旧市街らしき町並みに入った。だが、「隠れたリゾート」とは思えないほど田舎っぽい土産物屋や食べ物やが続く。 「いやいや、そのうち目もくらむようなリゾートが見えてくるに違いない」 そう言っていたら、200~300メートルも歩いたところで行き止まりになってしまった(下の写真)。 そこには柵が設けられており、下は何十メートルという断崖絶壁。眼下には真っ青な海と白い砂浜、そして頂上に教会を頂いた地続きの島が見えた。そして、水平線の向こうには車窓からも見えていたストロンボリ島がくっきりと見えている。 このトップの写真こそが、その場所からの撮影である。 それにしても、「隠れた」とはいえ、「リゾート」で宿を探し当てるのに30分以上も費やすとは思わなかった。どうやら、本格的なリゾート気分を味わうなら、10キロ以上南のカーポ・ヴァティカーノ(ヴァティカン岬)か崖下の海岸にあるホテルを予約すべきだったようだ。旧市街には数えるほどのホテルしかなく、しかも私たちが行った10月下旬には中級ホテル1軒を残して閉まっていたのである。 |
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トロペーアのささやかなメインストリート、ヴィットリオ・エマヌエーレ通り。 50メートル先で道が突然途切れ、眼下に海が広がる。 |
| 上の写真と同じ場所から山側を見る。 これだけ見れば、どこにでもあるような南部の町である。 |
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では、町の雰囲気は写真で見ていただくとして、トロペーアで印象に残ったこと3つを紹介しよう。 1つ目は旧市街の海側3か所に設けられた展望台である。ここに、朝9時ごろから親父軍団が三々五々集まりはじめ、侃々諤々の議論(だと思う)をやっているのだ。おそらく、毎日顔を合わせて同じようなことをしゃべっているに違いない。 10時近くになると、そこに観光バスでドイツ人観光客が乗り付ける。たぶん、近くの豪華ホテルに止まっているのだろう。気の済むまで写真を撮って、また観光バスでどこかに去っていく。 昼間は暑いので人もまばらだが、夕刻になると地元の親父軍団が再び集まってくる。だが、夕方は比較的口数が少ない。というのも、夕焼けに浮かび上がるエオリア諸島があまりにも美しいからだ……と思う。 近くにいたおじさんに、「きれいだねえ」というと、正面にある島を指して、「ストロンボロだよ」と教えてくれた。ストロンボリ島だとばかり思っていたのだが、ストロンボロとはいかに。もしかすると、ストロンボリの単数なのか? でも、ストロンボリ島はもともと1つしかないはずだが……。よけいなことを聞いて、また新しい謎が生まれてしまった。 このように、展望台での人物観察は飽きないのである。 でも、よくよく考えてみれば、誰よりも長い間ここにいたのは、私と妻だったかもしれない。 「あの東洋人は、よく飽きずに来るもんだ」なんて言われていたりしてね。 |
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なぜか、片足を石の上に置いて、「おひかえなすって」スタイルでおしゃべりをする親父たち。 後ろは、町の北側にある展望台。崖の上に町があるから、海が高く見えて、すがすがしく感じる。 |
| 2つ目に印象に残ったのは、ドイツ人観光客の多さ。カラーブリア州の西海岸は、ドイツ人を引きつける何かがあるのか。ほかのどのイタリアの観光地にも増してドイツ人が多い。 逆に言えば、カラーブリア州というのは、それ以外の外国人にとって、旅行のための情報があまりにもなさすぎるのだが。 夜、レストランでメニューを受け取ったら、そこにはイタリア語とドイツ語の2か国語しか書かれていないではないか。それまで、イタリア語と英語、イタリア語とフランス語というメニューは見たことがあったが、これは初めての経験である。 |
| 町の南側にある展望台からは、ティレニア海に浮かぶエオリア諸島が正面に見える。
右の島は、ストロンボリ島。 この展望台には、朝から夕方まで地元の人がやってきては、おしゃべりに興じていた。 |
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| 3つ目に印象に残ったのは、何といってもトロペーア産の玉ねぎである。表面が紫色をした玉ねぎで、最近では、日本のイタリアレストランでもその名前を耳にするようになった。 これが実にウマい。 なにしろ、上品な甘みがあって、いくら食べても飽きないのだ。1日目の夕食は、付け合わせの生野菜サラダに入っていた玉ねぎを、妻にことごとく食べられてしまったほどである。 そこで2日目の夜には、一計を案じて(というほどじゃないが)、玉ねぎだけのサラダはないものか、店の主に尋ねた。 「おお、いい選択だね」 主はうれしそうな顔をした。 そうそう、有名な観光地のはずなのだが、まだまだ観光客ずれをしていなくて、素朴な人情が残っているのもこの町のいいところである。 |
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●所在地 |
休業中のレストランの門でポーズをとるネコ |
| 2007年8月作成 | |
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