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私鉄ローカル線を訪ねて
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西鹿児島駅前  西鹿児島駅(現・鹿児島中央駅)からは、正面に桜島が見える。市電がそこを横切っていった。


 現在のところ、日本の最南端にある路面電車が鹿児島市交通局の路線である(過去には沖縄の那覇に路面電車があった)。
 ここを訪れたのは1973年7月20日。台風の余波で変わりやすい天気のなか、数時間の滞在であったが、その間に市内見物だけでなく、市電の車庫の見学までしたのだから、若いとはいえ元気であった。
 そんな片手間の写真なのだが、ご覧いただければ幸いである。

撮影:1973年7月

鹿児島駅前  西鹿児島駅前にくらべると、鹿児島駅前はひっそりとしていた。棕櫚の木を前景にして、凝った写真のつもり。
 いまになって思うと、きっちりと停留所の全景を撮っていたほうが、記録としての価値があっただろうに……。

 車庫のある「交通局前」の停留場と記憶している。東京、名古屋、大阪から高知、鹿児島を結ぶフェリー「さんふらわあ」の全面広告車がやってきた。
 広告電車は好きではないのだが、これに限ってはデザインもよくて気に入った。
 800形は大阪市電から購入した車両。
全面広告電車

■車庫見学
         
トラバーサーと車両  鹿児島市電の電車は、正面の窓に特徴があった。中央の大窓と、両脇の小窓という配置は、すでに全廃されていた大阪市電と同じである。
 4両の電車の手前には、車両を平行移動させる機械「トラバーサー」が見える。

連接車 704号車。連接車である700形は、一部区間でラッシュ時のみに運転されていたという。
 車庫の片隅に置かれていた撒水(散水)用の車両(?)。桜島の噴煙対策で、線路の水撒きは欠かせなかった。現在では、トラックで水を撒いているそうな。

鹿児島駅前
鹿児島駅前の608号車。

 東京から鹿児島へは、飛行機に乗ればあっという間だが、貧乏学生だった私とその友人は、東京から急行「桜島・高千穂」で九州に上陸。あちこちで蒸気機関車を写したり、ローカル線を乗り継いだりしながら、最後は桜島町営フェリー(30円)に乗って鹿児島市内に入った。
 東京を出てから7日目。鹿児島の地に降りたったときは、はるばるやってきたという印象だった。そんな思い出の鹿児島市電である。

 鹿児島市電は、その後、一部路線の廃止があったものの、現在も市民の足として活躍している。新車も次々に導入され、とくに2002年に営業運転がはじめられた超低床車「ユートラム」は、なかなかのものである。
 岡山、広島、長崎とともに、新しい時代の路面電車をリードする存在となってほしい。


 


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