河原町三条をゆく5系統の朝の急行、2607号車。前部左側に「急」と書かれた丸い種別板がついている。 朝は、すべての電車を急行にして、スピードアップをはかっていた。つまり、通過する停留場に立っていると、朝の時間帯には1本も止まらなかったわけである。 写真にポインタを合わせると中央部分が拡大されます。 |
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初めて実物の京都市電を見たのは、高校の修学旅行。グループ別で行動しながら、数少ないチャンスを見つけては市電の写真を写していた。 京都市電については、あちこちで諸先輩方の素晴らしい記録が発表されているというのに、ついでに撮っただけの写真を展示するのも気が引けるが、せっかく写したものだから公開することにした。なにかの足しにしていただければ幸いである。 撮影:1973年11月 |
夕日を浴びて三条烏丸の交差点にさしかかる1928号車、4系統烏丸車庫行き。 バックは、1906年竣工の旧第一銀行京都支店。設計は、東京駅や日銀本店などを設計した、かの辰野金吾。 |
銀閣寺にほど近い錦林車庫にずらりと並んだ電車。右手のほうに1灯の古い電車が見える。 東山を散策中に、たまたま目に入った真如堂に向かう途中の坂道から撮影。当時、真如堂などという寺はガイドブックにも載っていなかったが、行ってみるとなかなか趣のあるところであった。 |
■夜の烏丸車庫 | ||||
修学旅行の夜の自由行動の時間。酔狂にも、電車好きの友人たちを連れて、烏丸車庫にやってきた。事務所で「電車を撮りたいのですが」と申し出ると、当然のことながら、「夜は許可していないんだよねえ」という返事。 | ||||
「そうですか」と私。あまりに落胆の色が見えたのか、「どこから来たの?」というお尋ね。「東京からです!」と答えると、驚いた顔をして「うーん」とうなる。 | ||||
「じゃあ、車庫のなかに入らないで、その通路から撮るんだったらいいよ」と言ってくれた。 もとより、その程度のつもりであった。こうして、めでたく撮ることのできたのが、ここに並べた写真なのである。 |
白川通り真如堂道(たぶん)をゆく1821号車、2系統西大路九条行き。 |
結局、まともな京都市電の写真はこれだけである。修学旅行以後も、何度か京都を訪れる機会はあったのだが、じっくりと市電の写真を撮ることがなかったのは、返す返すも残念である。 「こんど行ったら、八坂神社の前で撮ろう、東寺の前で写そう」などと思っているうちに、1978年に全線廃止となってしまった。 しかし、路面電車を廃止しても、交通渋滞は深刻になるばかり。そんな京都の町に、LRTと呼ばれる新型路面電車の導入が真剣に検討されているそうだ。 |
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