御津（愛知県）
東海道本線でずっと気になっていたのが、「愛知御津」（あいちみと）という駅名だ。旧国名ではなく県名を頭に付けるのは当時全国的にもかなり珍しかった。
下車してみると、線路に直行する駅前通りに沿って、板壁の味わい深い商家が並んでいるのが目に入った。この通りは、平坂（へいさか）街道というらしく、東海道から分かれて江戸時代の物流拠点だった平坂の港（現・西尾市内）へ通じる道だったとのことだ。
駅名の謎だが、戦後に駅を再建する際に、「御津」だけでは茨城県の水戸と同音になってしまい、かといって三河を頭に付ける駅はほかに多くあって紛らわしかったので、愛知を付けたのだという。2008年、御津町は豊川市に編入された。
1994年10月撮影
Mito Town, Toyokawa City, Aichi Prefecture
キャプションの数字は撮影地点の緯度、経度、撮影方向(真北が0°で時計回り)
JR東海道線愛知御津駅西側にある踏切から、平坂街道を南西に進む。いかにも昭和を感じさせるたたずまい。
34.812873, 137.314939
225°
1994/10
上の写真の右カーブを曲がったあたり。「栄屋呉服店」は、現在は住宅リフォーム会社の建物として、元の外観を生かしてうまくリフォームしている。
34.812641, 137.314680
240°
1994/10
平坂街道をさらに50mほど直進（南下）して、愛知御津駅方向を振り返ったところ。木造の商家が建ち並んでいたが、その後、少しずつ取り壊しや建て替えが進んでいる。
34.812357, 137.314227
45°
1994/10
さらに平坂街道を50ｍほど直進して、進行方向を望む。このあたりまで古い商家が並んでいた。画面中央の看板が見えるのは「武内酒店」。その手前の家は、街路灯に「鈴木製飴店」と記されている。
34.812010, 137.313750
225°
1994/10
駅から500mほど南下して信号のある交差点を左折。この狭い道もまた平坂街道なのだそうだ。ここに立派な家があった。手前の蔵は妻面が板壁になっているのが趣深い。ストリートビューを見ると、2015年の段階で更地になっており、現在では何軒もの戸建て住宅が建ち並んでいる。
34.810002, 137.313302
315°
1994/10
2022年8月公開
Copyright © Takashi FUTAMURA
