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ぶらぶらしていると、ここで働いているらしいおばさんに出会った。おかしな学生が写真を撮っているのを見て、何と思ったことだろう。 だが私はそんなことも気にせず、ちょっと会釈をすると、そこにあったトロッコを指して、「すみません、これを押していただけませんか」などと、ずうずうしいお願いをしたのである。つまり、この写真は「ヤラセ」なのだ。 写真を撮って礼をいうと、おばさんはそのままどこかへ行ってしまった。 |
さらにレールをたどっていくと、材木が整然とならべられた建物にはいっていく。 やはりまわりにだれもいないので、ずかずかとふみこんでいった。 |
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材木置場を抜けると、作業所らしき建物に出た。その作業所の出口の先には、最初に見た手押しトロッコが置いてあるではないか。いつのまにかぐるりと一周してしまったのだ。 もどってもう一度ゆっくり見ようかとも思ったが、津軽線の発車時刻がせまっていたので、そのまま製材所を出ることにした。 |
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津軽や下北には、昔の森林鉄道の軌道にそって製材所があり、なかにはそれらしきレールが顔を出しているところも見た。だが、これほどまでにしっかりとレールが残り、しかも手押しトロッコまで使っているようなところはほかに見ていない。 それにしても、ここではヤラセ写真に協力してくれたおばさん以外には、誰とも顔を合わすことがなかった。 静まり返った建物のなかでただ写真を撮り、そのまま出てきただけなのである。なんだか夢を見ているような気分だったので、この会社(?)の名前を控えておくのを忘れてしまった。 | ||
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