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操車場のようすは、道からよく眺めることができたが、それだけではおもしろくない。トロッコの線路に降りていくことにした。 |
例によってまわりに人影が見えないので、だまってスノーシェッドのなかにおじゃますることにした。 奥に貨車が見える。先はインクラインになっており、手前のレールのあいだにケーブルが見える。 |
何かおもしろいものはないかと物色していると、スノーシェッドの外にナベトロが見えた。 奧に見える建物のなかにもトロッコが走っていた。まるで、中国の客家の人たちが住む円形の家のようである。 |
その「客家の屋敷」を覗いてみると、ゴトゴトと音をたててトロッコがのろのろとやってくるではないか。 私はすかさずカメラをかまえたが、ファインダーを見ているうちに頭がぼーっとなってしまった。とても、1970年代終わりの日本の光景とは思えなかった。 シャッターを切ったあと、しばし茫然と立ちつくしていた私であった。 あれから20年、砂川から分岐して上砂川まで走っていた函館本線の支線も廃止されてしまった。こんな光景は、もう日本では見られないだろう。 |
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